システムキッチン交換工事の基本と実務ポイント――調査・施工・段取りで失敗しないために

システムキッチンの交換工事は、住宅リフォームの中でも工期・作業工程・関係業種が多く、現場管理力が求められる工種です。設備職人だけでなく、大工・電気・ガス・内装と複数の業者が関わるため、事前調査の精度と段取りが利益を左右します。本記事では、これからシステムキッチン交換を扱う工事会社向けに、現場で押さえるべき基本と実務手順を1700字で整理します。
1. 事前調査が最重要――ここでミスすると赤字になる
キッチン交換工事では、事前調査の不備がそのまま「追加工事」「工期遅延」「利益圧迫」につながります。最低限、以下のポイントを確認しましょう。
●① 排水位置(床排水/壁排水)と芯位置
キッチンはシンク位置が変わると排水の移動が必要になります。
- 床排水: 配管ルートを事前確認
- 壁排水: 接続位置が合わないと大工工事が発生
排水位置は図面・写真で記録し、メーカーキャビネットの寸法と必ず照合します。
●② 給水・給湯配管の位置
既存の給水位置が低い、高い、奥過ぎるなど、キャビネットに干渉するケースは多いです。
→ 事前に必要部材(VP延長・アングル止水栓・保温材)を準備し、最短時間で作業できるように段取り。
●③ ガス配管・電気配線
- ガス位置が移動不可 → コンロ位置の制限
- レンジフード電源の有無
- 食洗機用専用回路の有無
キッチン交換はガス・電気の資格作業が絡むため、工事会社が主体となり調整が必要です。
●④ 壁・床の下地状態
既存キッチンを外すと、壁がボロボロ・床が沈んでいるケースはよくあります。
→ 下地補修費が読めるよう、早い段階で説明しておくとクレームが減ります。

2. 実際の施工の流れ(実務手順)
現場で役立つように、1日の流れに沿って解説します。
① 既存キッチンの撤去
まず止水・止湯・ガス閉栓・電気停止。
撤去手順は以下の通り:
- レンジフード取り外し
- 吊り戸棚の撤去
- 天板・シンクの取り外し
- 下台BOXの取り外し
- 背面・側面のキッチンパネルの確認
- 配管キャップ・ガス栓閉塞
注意点:
・シンク下で水漏れ → バケツ・雑巾必須
・ガスは必ず有資格者対応
・キッチンパネルが石膏ボードごと剥がれることがある
撤去後は、床・壁の劣化箇所を記録し、お客様に確認を取ります。
② 下地補修・配管位置の調整
新しいキッチンに合わせて、排水・給水・電気・ガスを調整します。
- 排水移動(ジャバラ不可、塩ビで確実に)
- 給湯器からのルート確認
- 食洗機・IH・レンジフードの電源増設
- 壁の下地補修(ビスピッチ確保)
ここで段取りが悪いと、待ち時間が発生し職人の人工が上がります。
段取りの肝:前日までに必要部材をすべて現場に揃えておくこと。
③ 新規システムキッチンの設置
ここからはメーカーの施工説明書に沿って進めます。
●水平調整
キャビネットの水平が狂うと、
- 引き出しが閉まらない
- 水が溜まる
- ガタつき
すべて不具合の原因になります。レーザーで長手方向・奥行き方向を確認。
●キャビネット連結
下台BOXを水平合わせ、左右をビスで連結。
最近は引き出しタイプが多く、「ミリ単位のズレ」が後々の調整に響きます。
●ワークトップ(天板)の設置
人工大理石、ステンレス、人造石など材質ごとに注意点が異なります。
●水栓・排水の接続
- Sトラップ・Pトラップの選定
- パッキンの噛み込み
- 食洗機用分岐水栓の接続
●レンジフード・IH/ガスコンロの接続
- ダクト径とルート確認
- ガス接続は必ず資格者
- IHは専用回路が必要(200V)
④ キッチンパネル張り(もしくはタイル面の補修)
キッチン交換で仕上がり差が出るのがここ。
化粧パネルは継ぎ目処理やコーキングで美観が大きく変わります。
⑤ 最終確認・清掃
施工会社として必ず確認すべきポイント:
- 排水漏れ
- 給水・給湯漏れ
- ガス漏れ
- 引き出し開閉
- レンジフード風量
- IH/コンロ着火
- コーキングの仕上がり
ここを丁寧に行うだけで、クレーム率が大きく低下します。
3. システムキッチン交換で起きやすいトラブルと防止策
●① 排水位置が合わず工期伸び
→ 調査写真を必ず撮り、奥行き・高さ・芯位置を正確に測定する。
●② 壁・床の下地が腐っている
→ 撤去後に説明しても揉めやすいため、事前に「場合によっては補修が必要」と説明。
●③ レンジフードのダクト位置が合わない
→ 天井裏の確認が必須。
●④ 食洗機が入らない
→ キャビネットの奥行き寸法とブレーカー容量を事前確認。
4. 初心者工事会社が利益を残すためのポイント
- 段取り命:職人が止まる時間をゼロに
- 必要部材を施工日前に全て現場へ搬入
- 配管位置・電気・ガスの写真記録
- 多能工を育成すると利益率が一気に上がる
- 商品知識(メーカー差)を覚えると工期短縮できる
まとめ:システムキッチン交換は“調査・段取り・連携”で決まる
システムキッチン交換は、設備工事の中でも最も多職種が絡む工事です。そのため、事前調査と段取りの精度によって、利益が出る現場か赤字現場かがほぼ決まります。
初心者の工事会社でも、
・排水・給水・電気・ガスの基本位置
・撤去後の下地補修
・キャビネットの水平
これらを押さえれば、高品質でムダのない工事が可能になります。
現場の標準化・チェックリスト化で、安定した収益が見込める分野ですので、ぜひ本記事の内容を現場で活かしてみてください。