水栓交換工事の実務ガイド――調査・見積・施工のポイントを徹底解説

水まわり工事の中でも「水栓交換」は、工事会社が最も受注しやすく、単価の割に安定して利益を出しやすい人気の工事です。キッチン・洗面・浴室と場所も多く、部材選定・施工スピードが品質を左右します。しかし現場では、既存配管の状態や取付仕様を見誤ると追加工事が発生しやすく、作業時間が長引くトラブルも少なくありません。本記事では、工事会社・職人向けに、水栓交換工事の実務ポイントをわかりやすく解説します。


目次

1. 水栓交換が必要になる主な理由

水栓交換は住まいのどの箇所でも発生するため、年間通して需要があります。依頼の背景には次のようなケースがあります。

  • 本体からの水漏れ(ハンドル根元・スパウト・シャワーホース等)
  • カートリッジ劣化による温度不良・止水不良
  • シャワーホースの破れ
  • レバー操作の重さ・異音
  • リフォームに伴うデザイン変更
  • 築年数による老朽化
  • 浄水器一体型への交換ニーズ

特に、住宅設備の寿命は10~15年といわれ、築古物件では大量の交換需要があります。


2. 【調査】現場確認でミスを防ぐための5つのチェック項目

水栓交換は簡単な作業に見えて、事前調査がもっとも重要です。
現場では次の5点を必ず確認しておきましょう。

① 取付形式(壁付・台付・ワンホール・ツーホール)

  • キッチン:ワンホール or ツーホール
  • 洗面:混合栓 or 単水栓
  • 浴室:壁付混合栓(ピッチ100mmが一般的)

既存形式を誤ると、部材が合わず工事ができません。

② 給水・給湯配管の状態

  • 止水栓が固着して回らない
  • 錆・腐食で給水管が脆い
  • フレキホースの交換が必要か
    → 古い金属配管は特に注意。

③ カウンターや天板の厚み・穴径

ワンホール水栓の場合、天板厚が合わないと固定ができません。
穴径もメーカーによって必要寸法が異なるため要チェックです。

④ 水圧・湯温・給湯器能力

  • キッチンのシャワー水栓への交換時
  • 節湯水栓で湯温が安定しないケース
    → 給湯器との相性も確認。

⑤ 周辺干渉・スペース

  • 壁からの距離が短い
  • シャワーホースが引き出せない
  • レバー操作が壁に当たる
    など現場特有の干渉は必ず確認します。

3. 【見積】追加工を確実に拾うためのポイント

水栓交換の基本見積項目は以下の通りです。

  • 水栓本体(メーカー・型式)
  • 交換工賃
  • 止水栓・フレキホース交換
  • シール材・パッキン類
  • 天板穴あけ・加工
  • 既存の固着解体費
  • 夜間・緊急対応の割増(マンション・店舗案件で多い)

特に重要なのが 止水栓の劣化・固着の有無 です。
動かない止水栓を無理に回すと配管破損につながるため、「止水栓交換の可能性あり」として別途料金を明記しておくとトラブル防止になります。


4. 【施工の流れ】プロが行う標準作業手順

ここからは現場での一般的な水栓交換手順を紹介します。

① 事前準備・止水

  • 元栓 or 個別止水栓を閉止
  • 周囲を養生
  • 古い水栓の周りを清掃しておくと作業が早い

② 既存水栓の取り外し

  • 壁付水栓:偏心管ごと交換するのが基本
  • ワンホール:固定ナットを裏側から緩める
  • 付着したシール材や水垢が固い場合、浸透剤を使用

③ 配管の状態確認・下処理

  • パッキン・シールテープを新品へ
  • パイプのねじ山の損傷確認
  • 固着は無理に回さず、加熱や浸透剤で慎重に取り外す

④ 新規水栓の設置

  • 壁付の場合:偏心管のピッチ調整 → 本体取付
  • 台付けの場合:固定ナットを均等に締め付ける
  • シャワーホースはねじれ無く設置し、引き出し動作を確認

⑤ 通水テスト

  • 水漏れ確認
  • お湯の温度変化チェック
  • シャワーの切替がスムーズか確認

水量・水圧・温度といった細かな点を丁寧に確認することで、施工後クレームを大幅に減らせます。


5. 現場で頻発するトラブルと対処法

● 偏心管が壁内で折れる

→ 劣化が激しい場合は無理に回さない。
→ 専用工具の使用、または設備職人の応援を検討。

● シンク裏が狭くて工具が入らない

→ 低床レンチ・薄型スパナを使用。
→ 洗面台丸ごと取り外しが必要なケースも想定。

● シャワーホースが引き出せない

→ 収納内に干渉物(配管・ゴミ箱・棚)がある
→ ホースガイドの追加で改善することも可能。

● 給湯器が追いつかず水温が安定しない

→ 節湯水栓を使用する場合は事前に案内。
→ 給湯器能力に合わせた水栓選定を提案する。


6. 工事会社が評価されるポイント

水栓交換は単価が大きくないため、多くの工事会社ではスピードと正確さが利益を左右します。
差別化ポイントは以下の通り。

  • 調査写真の共有(配管状態・止水栓・干渉箇所)
  • 使用メーカーの保証案内
  • 節水タイプ・浄水器一体型など付加価値提案
  • 施工後の水圧・温度チェック結果を報告

こうした丁寧な対応は管理会社・店舗・一般住宅のどれでも高い評価につながります。

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