洗濯パン交換工事の実務ガイド——調査から施工まで徹底解説

洗濯機周りの水漏れトラブルは、マンション・戸建てを問わず年間を通して多い案件です。その中でも「洗濯パン(防水パン)の劣化や破損による交換工事」は、工事会社にとって安定した受注につながるメニューのひとつです。しかし、現場では排水管位置・床下状況・周辺設備とのクリアランスなど、事前調査をおろそかにすると追加工事が発生しやすく、利益を削る原因にもなります。今回は、工事会社・職人向けに、洗濯パン交換工事の実務ポイントをまとめて解説します。
1. 洗濯パン交換が必要になるケース
洗濯パンの交換は、次のような状況で依頼されることが多くあります。
- ひび割れ・欠け・強度低下
- 排水口まわりの劣化、臭気の逆流
- 既存サイズが小さく、新しい洗濯機が入らない
- マンションでの水漏れ事故防止対策
- リフォーム・設備更新に伴う位置調整
特にマンションでは共用部への漏水リスクが大きく、管理会社が定期的に交換を推奨する例も増えています。
2. 【調査】現場で必ず確認すべき5つのポイント
洗濯パン交換はシンプルに見えて、現場によって難易度が大きく変わります。調査で確認すべきポイントは次の5つです。
① 排水口の位置(床上排水 or 床下排水)
- 床下排水:排水トラップ一体型が一般的で交換しやすい
- 床上排水:勾配が確保されているか、既存配管の高さが合うかを確認
② 排水トラップの種類
メーカーの型式が不明な場合、採寸と写真を必ず残すこと。交換不可の古いトラップは、配管工事が必要になる可能性もあります。
③ 洗濯機スペースの幅・奥行き・高さ
最近の大型洗濯機は奥行きが600mm以上のものも多い。パンの外形寸法と合わせて確認。
④ 周辺干渉(給水栓・壁・建具)
給水位置が高すぎて洗濯機が入らないトラブルも多い。
⑤ 床の状態・下地の傷みチェック
床が弱っている場合、パン交換だけでは済まず、コンパネ補強などの追加工が発生。
調査時点での判断が、そのまま「利益の守り」に直結します。
**3. 【見積のポイント】追加工を見逃さない
洗濯パン交換の基本的な見積項目は次のとおりです。
- 洗濯パン本体
- 排水トラップ
- 取替工賃
- 洗濯機脱着
- 床補修が必要な場合の追加
- 床上排水→床下排水など仕様変更の追加
- 夜間・土日対応の割増(マンションでは要注意)
**特に重要なのは「排水トラップがそのまま使えるか」**です。
古いマンションでは、既存トラップがメーカー廃番となっており、配管ごと交換が必要になるケースがあります。ここを事前に把握しておけば、赤字リスクは大きく減ります。

4. 【施工の流れ】現場での標準作業手順
ここからは、現場での一般的な作業手順を紹介します。
① 洗濯機の移動・水栓閉止
- 給水ホースを外し、水栓を必ず閉める
- ドレンホース取り外し
- 防水シートなどで周囲を養生する
② 既存洗濯パンの取り外し
- 固定ビスの有無をチェック
- コーキング部を切り離してパンを持ち上げる
- 古いパン周辺に汚れ・カビが多く、清掃も必要
③ 排水トラップの確認・交換
- 既存トラップが再利用可能か判断
- Oリングやパッキン類は基本新品に交換
- 排水勾配が取れているか必ず確認する
④ 新規洗濯パンの設置
- 下地に不陸があればパッキン調整
- 排水位置とパンの中心を合わせる
- コーキングで固定しすぎない(振動吸収のため)
⑤ 動作確認(水流しテスト)
- コップ1杯ではなく、バケツ1杯分を流して漏水確認
- マンションの場合、下階への伝い漏れにも注意する
⑥ 洗濯機復帰・レベル調整
- ドレンホースがS字トラップにならないよう配置
- 通常運転テスト
この流れを確実に行うことで、トラブル防止と工期短縮につながります。
5. 現場でよくあるトラブルと対処法
● 排水高さが合わない
→ 高さ調整ジョイント、または配管を切り回す。
→ 必要なら事前に設備職人へ応援依頼。
● 洗濯機が新しいパンに入らない
→ 新機種の寸法を事前に必ず確認。
→ 入らない場合は給水位置の移設が発生する。
● マンションでの昼間工事NG
→ 管理会社の工事申請ルールを確認する。
→ 騒音作業(床切断など)が必要なら特に注意。
6. 工事会社が差別化できるポイント
洗濯パン交換は単価が高くない工事ですが、品質によって大きく評価が変わります。
- 事前調査を丁寧にし追加工を事前説明
- 施工写真を提供(管理会社からの信頼UP)
- 水漏れ事故の予防提案(逆流防止タイプのトラップなど)
- 洗濯機の搬出入を丁寧に行う
こうした細かな対応がリピート・紹介につながります。