経審(経営事項審査)って何?建設業者が知っておきたい基本とポイント

公共工事の受注を目指す建設業者にとって、避けて通れないのが「経営事項審査」、通称「経審(けいしん)」です。しかし「名前は聞いたことがあるけど、内容はよく分からない」「誰が受けるものなの?」と感じている中小建設会社の経営者や営業担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、経審の基本と、審査で押さえるべきポイント、そして点数アップのためにできる工夫をわかりやすく解説します。
そもそも「経審」とは?
経審とは、公共工事を受注するための“入札参加資格”を得るための審査です。建設業者の経営状況や施工能力を数値で評価する制度で、国や自治体などの発注者が、適切な業者を選定する際の基準として活用しています。
▶ 経審が必要なのはどんな会社?
国・地方自治体・独立行政法人などが発注する一定金額以上の公共工事(多くは500万円超)に入札したい会社は、原則としてこの経審を受ける必要があります。
つまり「公共工事でしっかり仕事を取りたい」と考えるなら、経審は通らなければスタートラインにも立てないということです。
経審で審査される内容は?
経審では、以下のような項目を点数化し、**総合評定値(P点)**として算出します。このP点が、自治体や発注機関の「格付け」や「入札参加資格」に直結します。
主な審査項目は以下のとおり:
| 項目名 | 内容 |
|---|---|
| Y点(経営規模) | 売上高、自己資本額、従業員数など |
| X点(経営状況) | 財務分析(自己資本比率、収益性など) |
| Z点(技術力) | 技術者の人数や工事実績など |
| W点(社会性等) | 労働保険加入状況や法令遵守、地域貢献など |
| P点(総合評定値) | 上記の合計値。入札に使う重要な指標 |
※P点の有効期間は、原則として「1年7ヶ月」。継続して入札するには、毎年経審の更新が必要です。
経審の流れと必要書類
経審は以下の流れで実施されます。
- 事前に建設業許可を取得していることが前提
- 各都道府県の「建設業課」や「建設事務所」にて申請
- 審査後、評定結果(P点)が通知される
提出する主な書類には以下があります:
- 財務諸表(決算書)
- 工事経歴書
- 技術職員名簿
- 建設業許可証の写し
- 社会保険加入証明書類

点数アップのためのポイント
経審で高いP点を取ることで、より高ランクの入札案件に参加できたり、指名されやすくなったりします。中小企業でも意識すれば改善できる項目も多いため、以下のような点を見直してみましょう。
① 財務状況の健全化(X点)
・不要な借入金を減らす
・適切な在庫管理と売掛金の回収
・赤字を続けないように経営改善計画を立てる
② 技術職員の確保(Z点)
・専任技術者や施工管理技士の人数を確保
・経験年数が長い職員の実績を記録に残す
③ 社会性の強化(W点)
・社会保険(労災・雇用・厚生年金)の全社員加入
・建退共(建設業退職金共済制度)への加入
・地域貢献活動の実施と記録
経審対策は「一年かけて整えるもの」
経審は、短期的な対策だけで劇的に点数が上がるわけではありません。むしろ、**「1年後の経審に向けて、今から社内体制を整える」**という姿勢が必要です。
特に、決算内容や技術職員の登録情報は、経審の提出時点で変更がきかないものが多いため、「経審前に慌てて直す」ことはできません。
まとめ:経審は“会社の信用力”そのもの
公共工事の入札を目指すうえで、経審の理解と準備は避けて通れません。そして、この審査結果は単なる「点数」ではなく、**発注者にとっての“会社の信用力の証明”**でもあります。
中小企業にとってはハードルが高く感じるかもしれませんが、ポイントを押さえて準備すれば十分に戦えます。経審の内容をしっかり把握し、1年先を見据えた行動を今日から始めましょう。