通信インフラの保守・点検業務の実態と課題

――“止めない” を支える舞台裏――

こんにちは!
電気通信工事シリーズもいよいよ実務フェーズへ。今回は 「通信インフラの保守・点検業務」 に焦点を当てます。高速・大容量が当たり前の時代、「つながっていて当然」という利用者の期待を裏で支えるのが保守・点検チーム。どんな仕事をしていて、どんな課題を抱えているのか──現場目線でまとめました。


目次

1. そもそも保守・点検って何をする?

区分主な業務具体例
定期点検設備の劣化チェックONU・スイッチの温度測定、光損失測定(OTDR)
予防保全故障前に部品交換バッテリー・ファン・電源ユニットの交換周期管理
障害対応24/365 の緊急復旧ケーブル断線、機器故障、雷サージによる障害
改善措置性能・冗長強化冗長リンク増設、ファームウェアアップデート

保守は 「稼働率 99.999%(ファイブナイン)」 を目指す地味だけど超重要な仕事。点検記録・ログ解析・部材ストックなど、細かな運用が信頼を支えています。


2. 点検フローを追ってみる

  1. スケジューリング
    • コア設備:年 1 回以上(法定)
    • ビル内 IDF:半年~年 1 回
    • 無線 AP:リモート監視+現地点検(必要時)
  2. 現場準備
    • OTDR、光パワーメーター、LAN テスター、サーモカメラ
    • 交換用 SFP、UPS バッテリー、PoE インジェクタ等の予備品
  3. 実施
    • 光損失・クロストーク測定
    • スイッチ温度/ファン動作/エラー率確認
    • ケーブル結束確認・ラベル更新
  4. 報告書作成
    • 写真付き点検表、改善提案、緊急対応履歴
    • クラウド保管し顧客と共有

3. 運用を支える主なツールと機器

  • OTDR(光時間領域反射計):光ファイバーの傷・曲げ・断線位置を数 m 単位で特定
  • PoE テスター:電圧・電流を一発測定し AP / カメラの給電異常を判断
  • 監視ソフト(SNMP/Syslog):しきい値超過でアラート即通知
  • AR 点検アプリ:ケーブル ID や機器温度を AR 上で表示し、作業時間を短縮

4. 現場で直面する 5 大課題

  1. 夜間・休日対応による長時間労働
    • 対策:リモート監視+オンコール分担、交代制導入
  2. 多ベンダー混在による解析難度
    • 対策:マルチベンダー監視ツール、技術ドキュメント整備
  3. 部材 EoL(End of Life)問題
    • 対策:メーカー保守期限をDB化し、計画的リプレイス
  4. 老朽化配管によるケーブルダメージ
    • 対策:映像スコープで配管内部点検、空配管更新計画
  5. セキュリティ・物理鍵管理の煩雑化
    • 対策:スマートロック・入退室ログ連携、ゼロトラスト設計

5. テクノロジーが変える保守の未来

新技術期待効果
AI 予兆保全温度・トラフィックログから故障予知、交換時期を自動算出
ドローン/ロボット点検屋上アンテナや地下ピットの巡回自動化、安全性向上
デジタルツインネットワーク構成を仮想空間で再現し、変更前に影響試算
eSIM/SIM 内蔵 IoTリモート地の監視センサーが即日オンライン、現地作業削減

将来的には「無人化保守センター+現場ロボティクス」で、一次対応の大半が自動化される可能性も。ただし、最終判断や工事品質チェックは人の目と手が不可欠です。


6. 法令・契約面で注意すべきポイント

  • 電気通信事業法施行規則:端末接続工事と同等に、保守作業でも技術基準適合を維持する義務
  • 消防法/防火対象物点検:ケーブル貫通部の防火処置を点検時に再確認
  • 保守 SLA(Service Level Agreement)
    • 例:障害受付から 2 時間以内に一次対応、8 時間以内に復旧
    • ペナルティ条項を防ぐため、代替ルートや臨時設備の準備を明文化

7. まとめ:止めない仕組みをつくるのが保守の使命

通信が止まる=社会が止まる時代。
保守・点検は「緊急時だけ動く裏方」ではなく、“止めない仕組み”を設計・改善し続けるフロントランナーです。
IoT、AI、6G 時代を前に、

  • 多拠点・多ベンダーを統合監視する目
  • 現場の物理リスクを即時に排除する手
  • サービスレベルを契約で守る仕組み
    これらを磨き続けることが、通信インフラの信頼と価値を高める最短ルートとなるでしょう。

――明日の「つながっていて当然」を守るため、今日も点検車は走り続けます。

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