管工事の流れと各工程のポイント

~安全・効率・品質を守るために~
建築や設備工事において、管工事は建物の「ライフライン」を担う重要な分野です。給排水、空調、ガス、消火設備など、どれが欠けても建物は機能しません。
しかし、管工事は単に配管をつなげるだけではありません。「設計図の確認」から始まり、「墨出し」「配管」「接続」「テスト」「仕上げ」まで、数多くの工程があり、それぞれに専門知識と技術が求められます。
本記事では、一般的な管工事の流れと、それぞれの工程における安全・効率・品質の確保ポイントについて、現場目線で解説します。
目次
1. 事前準備・図面確認(設計段階)
● 工程概要:
施工に入る前に、配管図・系統図・平面図をもとに施工範囲やルート、必要な資材・機材を把握します。
● ポイント:
- 建築全体の工程と干渉しない配管ルートを確認
- 他工種(電気・大工・設備)との調整・取り合いを事前に済ませておく
- 支持金具や配管ルートの固定位置・勾配・点検口の配置もこの段階で検討
● 安全・品質対策:
- 図面ミスや不整合を見逃さない
- 打ち合わせ内容は必ず施工計画書や図面に反映
2. 墨出し(位置決め)
● 工程概要:
配管を設置する位置を建物の床や壁、天井に実寸でマーキングする作業。
● ポイント:
- 正確な位置出しが、後工程のすべての基準になる
- 勾配配管(特に排水)では1/100~1/50の傾斜を確保
- 使用機材:墨つぼ、レーザー墨出し器、スケール、水準器
● 安全・品質対策:
- 墨出しズレが後の配管ミス・干渉・再施工の原因に
- 他業者との打ち合わせ・現場確認を同時に行うのが理想
3. 配管加工・取り付け
● 工程概要:
材料を加工し、現場に合わせて支持金具の設置・管の設置・固定を行います。
● ポイント:
- 配管材の種類(塩ビ・鋼管・ポリエチレン管など)により加工方法や接合方式が異なる
- 支持金具(吊りバンド、サドル)を適正間隔で設置することが重要
- 配管の勾配、ねじれ、通りを目視・レベル器でチェック
● 安全・品質対策:
- 高所作業では足場や作業台の安全確認を徹底
- 加工時には**火気使用の可否(火気厳禁エリア)**に留意
- ネジや接着面はバリ取り・脱脂・適正な締め付けが必要
4. 接続作業・バルブ・機器取り付け
● 工程概要:
管と管を継手で接続し、機器類(バルブ・給湯器・便器など)との接続を行う工程。
● ポイント:
- 接着・溶接・圧着・フレア接続など、材質と方式に適した接続方法を選定
- バルブや機器の向き・高さ・作動範囲を確認
- シール材・パッキン類の選定ミスが漏水・ガス漏れの原因に
● 安全・品質対策:
- ガス管接続時はガス事業者の立ち会いが必要な場合あり
- 熱接合やトルクレンチ使用時の過加熱・過締めに注意
- 「通水確認」がまだの段階で、無理に機器設置を進めない
5. 圧力試験・水漏れテスト
● 工程概要:
すべての配管がつながった段階で、水圧・空圧をかけて漏れの有無をチェックします。
● ポイント:
- 配管ごとに試験圧力・時間・方法が決められている(JIS基準等)
- テスト機器:水圧試験ポンプ、ゲージ付きエアポンプなど
- 配管内の空気や異物は事前に完全に抜いておく
● 安全・品質対策:
- 試験中に漏れを発見した場合、即座に原因を特定し再施工
- 試験記録は施工品質の証拠書類として保存
- エアテストでは急な圧抜け=事故の危険があるため慎重に作業
6. 保温・防露・防火処理
● 工程概要:
冷温水管、空調管、給湯管などには断熱材や防露材を巻きつける処理を行います。
● ポイント:
- 冷水管には結露防止、給湯管には熱効率の保持
- 隠ぺい配管や天井裏では保温材の厚みと密着性が求められる
- 施工箇所:配管本体、継手部、支持部、機器の接続部まで
● 安全・品質対策:
- 保温材がズレると機能しない=テープ巻きや接着剤で確実に固定
- 防火区画貫通部は**防火処理材での封止(防火区画貫通処理)**が義務
- 一度配管を隠してしまうと手直しが困難なため、第三者検査後に処理
7. 仕上げ・清掃・引き渡し
● 工程概要:
工事の最終段階として、美観の確認、配管まわりの清掃、施工写真撮影、書類整理、引き渡しを行います。
● ポイント:
- 配管が真っすぐに並んでいるか、支持金具が緩んでいないかチェック
- 取り付けた機器の作動確認・漏れ確認・通水試験
- 工程写真や配管図面を引き渡し資料としてまとめる
● 安全・品質対策:
- 最終清掃後の現場でゴミ・配管カスの残置は禁止
- お客様(施主や設備担当者)への設備説明を丁寧に行うことも信頼に直結
まとめ:工程を理解し、1つ1つを丁寧に
管工事は、多くの工程が連続的かつ密接に関係しています。1つのミスや手抜きが、後の工程に影響を与えるだけでなく、建物全体の安全性・快適性・信頼性を損なう原因にもなります。
だからこそ大切なのは、
✔ 各工程の目的と重要性を理解すること
✔ 職人同士・他業種との連携を密に取ること
✔ そして常に安全・効率・品質の3つを意識すること
ひとつひとつの作業が、将来の「安心な暮らし」や「快適な空間」につながっていると考えれば、作業の質も自然と上がっていきます。