クッションフロア張替え工事の基本と実務ポイント ― 現場で仕上がりを左右する下地・納まり・接着の流れ

クッションフロア(CF)は住宅・店舗で広く採用される塩ビ系床材で、水回りや賃貸物件では特に使用頻度の高い床材です。見た目が柔らかい印象ですが、施工には“貼り方のセンス”と“下地処理の正確さ”が要求され、現場では意外と失敗が多い工種でもあります。

この記事では、CF張替え工事を初めて扱う工事会社・新人職人向けに、実務的な施工手順・注意点・トラブル防止策を解説します。


目次

■1. クッションフロアの特徴と張替え工事のポイント

CF張替え工事では、以下の3点が仕上がりを大きく左右します。

●① 下地がそのまま仕上がりに出る

クッションフロアは名前の通り柔らかく、小さな凹み・段差・ゴミを拾いやすいのが特徴です。
そのため下地作りが甘いと、施工直後は綺麗でも、照明の角度や数日後に“凹凸が浮き出る”などの不具合が起こります。

●② 水回りは特に納まりが重要

洗面所やトイレの工事では、便器・給排水のまわりのカット精度が求められます。
雑な施工は隙間が生じ、水侵入 → 下地腐食 → 追加工事につながるため注意が必要です。

●③ 接着剤の塗布ムラで仕上がりが変わる

CFは面積が広いため、接着剤の塗りムラが浮きやシワの原因となります。
温度・乾燥時間・オープンタイムを正しく管理することが現場品質の鍵です。


■2. 現場調査のポイント ― 張替え前に必ず確認する3項目

① 既存床材(CF・フロアタイル・長尺・フローリング)

既存材によって撤去方法と使用する下地材料が変わります。
特に“フローリングの上にCFが貼られている”場合は、下地調整の工数が増えます。

② 下地の状態

  • 合板の浮き
  • モルタルのクラック
  • 水濡れ跡(腐食)
  • シロアリ跡

これらの有無で施工範囲が大きく変わるため、見積段階で必ず確認します。

③ 設備や住設機器の脱着有無

トイレ便器は脱着が必要か?
洗面台は外す?外さない?
これが工期と金額に直結します。


■3. クッションフロア張替え工事の実務フロー(施工手順)

ここからは CF張替えの代表的な作業の流れを紹介します。


STEP1:既存CFの撤去

  • カッターで適切に切り分けながら剥がす
  • 糊残りをスクレーパーで除去
  • 下地に傷を入れないよう刃の角度に注意

古いCFは伸縮・硬化して剥がしにくいことも多いため、根気よく進めます。


STEP2:下地調整(最も重要)

CFは薄く柔らかいため、下地の不陸を最も拾いやすい床材です。

具体的な作業内容は以下の通り:

  • 剥がし跡の段差をパテ処理
  • 合板の沈みがある場合はビス打ち補強
  • モルタル下地の場合はクラック補修
  • 乾燥後、ペーパー掛けで平滑に仕上げ

“少し凸凹してるけど大丈夫だろう”
これは一番のNGです。


STEP3:巾木の処理・見切りの確認

  • ソフト巾木の場合は張替えと同時に交換が望ましい
  • 既存巾木を残す場合はCFを差し込むように施工
  • 他室との境は見切り材の取付有無をチェック

巾木の扱いが仕上げの美観を決めます。


STEP4:CFの採寸・裁断(割り付け)

CFはロール材のため、施工前に大判でカットします。

  • 施工スペースより少し大きめに裁断
  • 現場で壁際に合わせ最終カット
  • 柄物(木目・タイル柄)は目地や方向性を合わせる

新人職人が特に時間を使う工程です。


STEP5:接着剤の塗布と貼り込み

接着剤は一般的に アクリル系樹脂エマルション型 を使用します。

  • ヤセ・ダマにならないよう均一に塗布
  • オープンタイムを守る(季節で変動)
  • 空気が入らないよう押さえながら貼る
  • ジョイント(つなぎ目)は突き付け精度重視

貼った後はローラー(数十kg)で圧着し、浮き防止を確実にします。


STEP6:端部・設備まわりのカット納め

特に技術差が出るポイントです。

  • 配管まわりはコンパスカッター等で円形を正確に
  • 便器まわりは後付けパッキンを使うと水密性UP
  • ドア枠下は差し込み処理で美観重視

雑にすると“隙間から水侵入 → 下地腐れ”の原因になるため注意。


STEP7:清掃・養生・完了確認

  • ローラー後に再確認し浮きやシワがないかチェック
  • 糊かすを拭き取り
  • 家具搬入がある場合は養生材を敷設

賃貸物件では退去後すぐ入居があるため、作業完了後の乾燥時間も必ず伝えます。


■4. よくあるトラブルと対策

不具合原因対策
浮き・シワ接着剤不足 / オープンタイム不良均一塗布・温度管理
床に凹凸が見える下地処理不足パテ処理の徹底
つなぎ目が目立つジョイント精度不足専用ローラーで圧着
匂いが残る施工直後の換気不足換気を徹底、低臭タイプの糊

■5. 現場単価・工期の目安(工事会社向け)

  • 住宅6畳(約10㎡):2〜3時間
  • 洗面所(1~2㎡):1.5〜2時間
  • トイレ(0.5~1㎡):設備脱着ありで3〜4時間

単価は地域差・設備脱着の有無で変動しますが、
住宅CF張替えは粗利の確保がしやすい工種として工事会社が取り入れやすいのが特徴です。


■まとめ

クッションフロア張替え工事は「簡単そうに見えて難しい」工種です。しかし、

  • 下地処理を丁寧に行う
  • 接着剤の管理を正確にする
  • 設備まわりのカットを慎重に行う
    この3点を押さえれば、誰でも安定した品質が発揮できます。

水回りリフォームや賃貸原状回復において利益の出しやすい工種なので、工事会社のメニューとして導入価値の高い施工と言えます。

シェア!
  • URLをコピーしました!
目次