フロアタイル張替え工事の基本と実務ポイント ― 現場で失敗しないための下地・施工・仕上げの流れ

フロアタイルは、住宅・店舗・オフィスを問わず幅広く採用される床材で、デザイン性・耐久性・メンテナンス性に優れています。一方で、張替え工事では“下地処理”や“接着剤の選定”、“納まりの精度”が仕上がりに直結するため、経験の浅い工事会社ほど失敗しやすい工種でもあります。
この記事では、 「フロアタイル張替えを初めて扱う工事会社」や「新人職人」向けに、現場で押さえておくべき実務の流れと施工ポイントを1から解説 します。

■1. フロアタイルの特徴と張替え工事の要点
まず前提としてフロアタイル工事は“仕上げ精度が結果にそのまま出る工事”です。特に以下の要素が重要になります。
●下地の平滑性が命
フロアタイルは薄い素材が多く、 1mm以下の段差でも仕上がりに影響 します。既存床の残り糊、凹み、傷をそのままにすると、タイルの浮きや目地のズレにつながります。
●接着剤の選び方が耐久性を左右
用途(住宅・店舗)、下地の種類(合板・モルタル)、施工環境(湿気・温度)により適切な接着剤が異なります。
●温度管理も重要
接着剤のオープンタイムや硬化時間は温度に影響されるため、季節によって作業手順や養生時間を調整する必要があります。
■2. 現場調査のポイント ― 張替え前に必ず確認すべき3点
① 既存床材の種類と状態
クッションフロア(CF)、フロアタイル、長尺シート、フローリングなど種類により撤去方法や下地処理が大きく変わります。
② 下地の強度・不陸
特に店舗の夜間工事などでは「タイルを剥がしたら下地がボロボロ」というケースもあります。必要であれば パテで補修する前に下地補強 を検討します。
③ 立ち上がり・巾木・見切り材
どこまで張り、どこを見切るかで工期も仕上がりも大きく変わります。巾木脱着なのか、入れ替えなのかも必ず事前に確認しておきます。
■3. 張替え工事の施工手順(実務フロー)
ここでは、工事会社が実際に現場で行う標準的な流れを紹介します。
STEP1:既存材の撤去
スクレーパーや電動ケレンを使用して、既存フロア材を撤去します。
- 糊残りをできるだけ取り除く
- 下地に傷を付けないよう角度に注意
- 古いタイルの粉塵に注意し、集じん機を併用
撤去後は 下地の浮き・欠損・クラックを必ず確認 します。
STEP2:下地処理(最重要工程)
フロアタイルの仕上がりを決める工程です。
- パテを使用して不陸調整
- 大きい凹みは2回以上に分けて塗る
- 乾燥後はサンダーで平滑にする
“どれだけ丁寧に下地を作れたか”で仕上がりの8割が決まります。
STEP3:割り付け(基準線)
- 中心線(墨)を取り、貼り始め位置を決定
- 出入口や見切りとのラインを意識し美観を調整
店舗の場合は、視界に入る主要ラインを優先して割り付けを決めます。
STEP4:接着剤の塗布(オープンタイム管理)
使用する接着剤によりオープンタイムが異なります。
- 塗布ムラを出さない
- 夏場は乾きやすいので注意
- “糊の糸引き具合”で最適タイミングを見極める
新人が最もつまずくポイントです。
STEP5:フロアタイルの貼り込み
基準線に沿って貼り進め、ローラーで圧着します。
- 目地のズレは即修正
- 端部はカッターを使い丁寧にカット
- 曲がったら戻す=スピードより精度
温度変化で伸縮するため、季節により“遊び”を調整することもあります。
STEP6:見切り・巾木の取付
アルミ見切り、ソフト巾木など必要な部材を取り付けます。
- 接着剤タイプ / 釘打ちタイプを判断
- 巾木の角はコーナー納まりを意識
ここが雑だと全体のクオリティが落ちます。
STEP7:仕上げ確認・清掃・養生
- タイルの浮き・段差・目地ズレを確認
- 掃除機+モップでクリーニング
- 荷重がかかる場合は養生材を敷く
特に飲食店では、油分が残っていないかのチェックも必須です。
■4. トラブル事例と防止策
●タイルが浮いてくる
→ 接着剤の乾燥不足、下地の水分、ローラー不足が原因。
●目地の隙間が増える
→ 温度管理不足で伸縮が起きた可能性。
●段差が出る
→ 下地処理の不備。不陸処理を徹底すること。
■5. 工事会社が押さえるべきコスト・工期のポイント
- 住宅6畳(約10㎡):半日~1日
- 店舗20〜30㎡:1日〜1.5日
- 下地が悪い場合はパテ工程が増えるため追加時間が必要
- 接着剤・パテの使用量は現場により大きく変動
単価の組み立て時は 下地の状況と撤去の手間を最優先で確認 してください。
■まとめ
フロアタイル張替え工事は、見栄えの良さと耐久性を両立させるために、 「下地処理の精度」 と 「接着剤の扱い」 が肝心です。
現場調査を丁寧に行い、段取りと施工手順を正しく踏むことで、トラブルの少ない安定した仕上がりを実現できます。
新人でも再現しやすい工種なので、工事会社が取り込みやすいメニューとしておすすめです。