建築で使われるガラスの種類と特徴

建築におけるガラスは、単なる「透明な板」ではありません。現代の建物にはさまざまな性能やデザイン性を持ったガラスが使われており、用途や目的に応じて適切な種類を選ぶことが重要です。本記事では、代表的な建築用ガラスの種類とその特徴をわかりやすく解説します。
1. フロートガラス(一般ガラス)
最も基本的なガラスが「フロートガラス」です。製造工程で溶融したガラスを溶けた錫の上に浮かべて平滑に仕上げるため、透明度が高く歪みの少ない板ガラスができます。
- 特徴:高い透明性、加工性に優れる
- 用途:窓、間仕切り、家具、鏡など幅広い
ただし割れると鋭利な破片になるため、安全性を求められる場所には向きません。
2. 強化ガラス
通常のガラスを約700℃で加熱し、その後急冷することで表面に強い圧縮応力を与えたものが強化ガラスです。
- 特徴:
- 通常のガラスの約3〜5倍の強度
- 割れても粒状に砕けるため安全性が高い
- 用途:店舗の大きな窓、建物の外壁、ショーウィンドウ、ドア
高強度かつ安全性が求められる場所には欠かせない素材です。
3. 複層ガラス(ペアガラス)
断熱性能を高めるために、2枚以上のガラスを中空層で合わせたものが複層ガラスです。中空層には乾燥空気やアルゴンガスを充填することもあります。
- 特徴:
- 高い断熱性能(冬は暖かく、夏は涼しい)
- 結露防止効果がある
- 用途:住宅の窓、オフィスビルの外装
近年は省エネ住宅やZEH(ゼロエネルギーハウス)の普及に伴い、標準仕様として採用されるケースが増えています。
4. Low-E複層ガラス
複層ガラスの中でも、特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングしたものがLow-E複層ガラスです。
- 特徴:
- 赤外線を反射し、冷暖房効率を向上
- 夏の遮熱、冬の断熱どちらにも対応可能
- 用途:省エネ住宅、高層ビル、公共施設
「エコガラス」として普及しており、快適性と環境性能を両立します。
5. 合わせガラス(ラミネートガラス)
2枚のガラスの間に樹脂フィルムを挟んで圧着したものが合わせガラスです。
- 特徴:
- 割れても破片がフィルムに貼り付いたまま落ちにくい
- 防犯性能が高い
- 紫外線カット効果あり
- 用途:自動車のフロントガラス、住宅の防犯窓、公共施設
特に防犯ガラスとしてニーズが高まっています。
6. 型板ガラス(くもりガラス)
表面に模様をつけたガラスで、光を通しながら視線を遮る効果があります。
- 特徴:
- 採光とプライバシーの両立
- デザイン性が豊富
- 用途:浴室の窓、玄関ドアの明かり取り、間仕切り
近年はすりガラス風のフィルム加工もありますが、本物の型板ガラスならではの質感が好まれます。
7. 防火ガラス
火災に耐える性能を持った特殊ガラスです。網入りガラスや耐熱強化ガラスが代表例です。
- 特徴:
- 火災時に延焼を防ぐ
- 建築基準法で防火設備に使用が義務付けられる場合あり
- 用途:防火地域の建物、非常口、学校、公共施設
特に都市部では必須の建材といえるでしょう。
8. 装飾ガラス
建築のデザイン性を高めるために使われるのが装飾ガラスです。
- 種類:カラーガラス、エッチングガラス、ステンドグラス、デジタルプリントガラスなど
- 用途:商業施設の内装、ホテルロビー、住宅のアクセント
「見せるためのガラス」として空間デザインに欠かせません。
9. 機能性ガラスの進化
近年はさらに高機能なガラスも登場しています。
- 調光ガラス:スイッチで透明⇔不透明を切り替え
- 太陽光発電ガラス:光を通しながら発電可能
- 抗菌・抗ウイルスガラス:公共施設や病院で注目
ガラスは単なる仕切りではなく、建築の快適性・省エネ性・安全性を支える重要素材へと進化し続けています。
まとめ
建築で使われるガラスには、フロートガラスを基本に、強化ガラス・複層ガラス・合わせガラスなど多彩な種類があります。それぞれに性能や特徴があり、用途に応じた適切な選択が必要です。特に近年は、省エネ・防犯・デザイン性といった付加価値を持つガラスが増えており、建築におけるガラスの役割はますます重要になっています。