総合評価落札方式とは?価格だけじゃない評価軸

― 技術提案や実績アピールの仕方をわかりやすく解説
公共工事の入札といえば「一番安い業者が落札する」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし近年では、価格だけではなく品質・技術力・企業の信頼性などを総合的に評価して落札者を決める「総合評価落札方式」が主流となりつつあります。
本記事では、この方式の基本的な仕組みや評価項目、そして企業としてどのように準備すれば高く評価されるのかを解説します。
総合評価落札方式とは?
総合評価落札方式とは、入札において単に「最低価格」を選ぶのではなく、価格と技術的評価点を総合的に勘案して落札者を決定する仕組みです。
国土交通省が2005年から導入を進め、現在では多くの自治体でも採用されています。背景には「安値競争による品質低下の防止」と「優れた技術やノウハウを持つ企業を適切に評価する」目的があります。
たとえば同じ工事を請け負う場合でも、
- A社:価格は安いが過去に品質面で不安あり
- B社:価格はやや高いが技術力・実績・提案力が高い
というケースでは、B社が落札する可能性が高くなります。
評価の基本構造
総合評価落札方式では、大きく分けて次の二つの要素で点数が算出されます。
- 価格評価点
入札金額に応じて算出される点数。最低価格に近いほど高得点になります。 - 技術評価点
企業や現場代理人の能力、過去の施工実績、提出された技術提案書の内容などを評価。
最終的に「価格評価点+技術評価点」の合計が最も高い業者が落札者に選ばれます。
技術評価の主な項目
では、技術評価ではどのような点が見られるのでしょうか。代表的な項目を整理すると以下の通りです。
- 施工実績:過去に類似工事をどの程度経験しているか
- 現場代理人や技術者の資格・経験
- 品質管理・安全管理の取り組み
- 地域貢献や環境配慮の取り組み
- 技術提案書の内容(工期短縮案、省コスト案、新技術の活用など)
つまり「自社の強みをどう伝えるか」が大きなカギになります。
技術提案書の作り方のポイント
総合評価落札方式で差が出るのは「技術提案書」です。単に“できること”を羅列するのではなく、次のような工夫が必要です。
- 発注者の課題に即した提案
発注者は「安全に」「効率的に」「高品質に」工事を終えたいと考えています。その意図を汲み取り、ニーズに合った解決策を提示することが重要です。 - 数値化・根拠を示す
「工期を短縮できます」だけでなく、「従来比10%の短縮が可能、その根拠は〇〇工法の採用」といった具体性が評価されます。 - 視覚的にわかりやすく
図や写真を使い、文章だけでは伝わりにくい部分を補足することで、読み手の理解が深まります。
企業としての準備――日頃からできること
総合評価落札方式で高得点を取るには、入札直前の工夫だけでは不十分です。日常業務からの積み重ねが重要になります。
- 工事成績評定を安定的に高得点に保つ
- ISO取得や安全管理マニュアルの整備
- 資格取得支援による技術者の育成
- 地域社会への貢献活動を発信
これらはすべて技術評価の加点対象になりうるため、普段の取り組みがそのまま競争力につながります。

総合評価方式がもたらすメリット
この方式は発注者だけでなく、受注者にとっても大きなメリットがあります。
- 価格だけの過当競争から脱却できる
- 技術力や品質への取り組みが正当に評価される
- 企業ブランディングにつながる
つまり「安値で受注して苦しむ」から「自社の強みで選ばれる」へとシフトできるのです。
まとめ
総合評価落札方式は、公共工事の入札においてますます重要性を増しています。価格競争だけでなく、技術力や実績、提案力といった総合力が評価される時代になりました。
企業にとっては「日頃からの取り組みをどう見せるか」「提案書でどう伝えるか」が勝敗を分けます。安さだけで選ばれるのではなく、“選ばれる理由”を持つ企業こそ、今後の入札市場で存在感を発揮できるでしょう。
総合評価落札方式を理解し、実践に活かすことが、受注のチャンスを広げる第一歩です。