足場工事とは?役割と基本の仕組みを知る

建設現場やリフォーム現場の近くを通ると、建物の外周を金属パイプや板で組み上げた構造物を目にすることが多いでしょう。それが「足場」です。普段の生活ではなじみが薄い存在ですが、建設工事において足場は欠かせない重要な設備であり、安全性や作業効率を大きく左右します。この記事では、足場工事の役割や基本構造、建設業界における位置づけをわかりやすく解説していきます。


目次

1. 足場工事の目的と役割

(1)安全確保のための作業床

足場の最大の役割は「作業員の安全確保」です。建設工事は高所作業を伴うことが多く、直接建物に取り付いて作業するのは極めて危険です。足場を設置することで、作業員が安定した作業床の上で動けるようになり、転落や墜落といった重大事故のリスクを大幅に低減できます。

(2)作業効率の向上

足場は安全のためだけでなく、作業効率を高めるためにも重要です。外壁の塗装や防水、サイディングの張替えなど、建物の外周で行う作業は多岐にわたります。足場があれば必要な高さや位置に自由にアクセスでき、作業を効率よく進めることができます。結果として工期の短縮や施工品質の向上にもつながります。

(3)周辺環境への配慮

足場は単なる作業床ではなく、周辺環境に配慮する役割も担います。多くの現場では足場に「メッシュシート」や「防音シート」が取り付けられます。これにより、資材や工具の落下を防ぐだけでなく、粉じんの飛散や工事音の拡散を抑え、近隣住民への迷惑を最小限に抑えることが可能になります。


2. 足場の基本構造

足場は一見シンプルな骨組みに見えますが、実際には安全性と強度を確保するためにさまざまな部材が組み合わさっています。

(1)主要な部材

  • 支柱(スタンダード):足場を縦に支える柱。全体の骨格を構成する重要な部材です。
  • 水平材(レッジャー・布材):支柱同士を水平につなぎ、足場全体の安定性を確保します。
  • 作業床(足場板):実際に作業員が立つ板状の部材。金属製や合板製があり、滑り止め加工が施されている場合も多いです。
  • 手すり・中さん・巾木:転落防止のために設けられる安全設備。労働安全衛生法で設置が義務付けられています。
  • 筋交い(ブレース):足場全体の揺れを防ぐために斜めに取り付ける部材。強度を高める役割を果たします。

(2)安定性を保つ仕組み

足場は「自立式」ではなく、建物に固定して安定させる場合が多いです。これを「控え(アンカー)」と呼び、足場と建物を緊結することで、強風や地震の揺れに耐えられる構造を確保します。控えの設置方法や本数は、建物の高さや足場の種類によって異なります。


3. 足場工事の流れ(概要)

足場工事の全体像をイメージしやすいように、一般的な流れを簡単に紹介しておきましょう。

  1. 現地調査・計画:建物の大きさや周辺環境を調査し、足場の種類や組立方法を計画します。
  2. 資材搬入:専用のトラックでパイプや足場板などを搬入します。
  3. 組立作業:職人が現場で足場を組み立て、安全設備を設置します。
  4. 検査・確認:組立後に足場の安定性や安全性を点検します。
  5. 工事の実施:外壁工事や屋根工事など、足場を利用した本来の作業が進められます。
  6. 解体・搬出:工事が終われば足場を解体し、資材を搬出します。

足場工事自体は1~3日程度で終わることが多いですが、その後に行われる建築工事の期間中は設置されたままの状態となります。


4. 法規制と安全基準

日本における足場工事は「労働安全衛生法」や「建設業法」で厳しく規制されています。特に高所作業は重大事故につながりやすいため、法令で足場の設置基準や点検義務が細かく定められています。たとえば以下のようなルールがあります。

  • 高さ2m以上の作業には原則として足場が必要。
  • 高さ5m以上の足場には作業主任者(足場の組立等作業主任者)の選任が義務。
  • 手すりや巾木の設置は必須。
  • 組立・解体時には墜落防止の安全帯やヘルメットを使用すること。

これらはすべて「作業員の命を守る」ために欠かせない基準であり、足場工事業者にとっては最重要の遵守事項となります。


5. 足場工事が果たす社会的な役割

足場工事は、表舞台に出ることは少ないですが、建設業界全体を支える基盤的な存在です。

  • 高品質な建築物を実現するための下支え
  • 作業員が安心して働ける環境づくり
  • 近隣住民への配慮を担保する装置

これらすべてを支える「縁の下の力持ち」として、足場工事は建築業界に不可欠な工種だといえるでしょう。


まとめ

足場工事は建設現場における「安全」と「効率」を両立させるための必須工事です。作業員の命を守る安全装置であると同時に、工事を円滑に進めるための土台でもあります。建物を建てる、直す、長持ちさせる ― そのすべてに欠かせない役割を担うのが足場工事なのです。

次回は、「主な足場の種類と使い分け(枠組足場・単管足場・くさび式など)」について解説していきます。工法ごとの特徴を知れば、足場工事がさらに身近に感じられるはずです。

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