廃棄物の分別とリサイクル 〜環境に配慮した解体工事の実践〜

建物を解体する際には、単に壊すだけでなく、出てくる廃棄物を適切に処理することが重要です。近年では、環境保全の観点から「分別解体」が重視され、建設リサイクル法をはじめとする法令の整備も進んでいます。本記事では、解体工事で発生する主な廃棄物の種類とその処理方法、リサイクルの実際、そして現場での分別作業のポイントについて解説します。
■ 建設リサイクル法とは?
解体工事における廃棄物の分別とリサイクルを語るうえで外せないのが「建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)」です。2000年に制定され、2002年から本格施行されたこの法律は、特定の構造物の解体・新築・増改築などの工事において、以下の資材の再資源化を義務付けています。
- コンクリート
- アスファルト・コンクリート
- 木材
- その他特定建設資材
この法律により、解体現場では上記の資材を種類ごとに分別し、再利用または適正処理することが求められるようになりました。対象となる工事は、一定規模(例えば解体工事なら80㎡以上)を超えるものに限られますが、今やほとんどの解体業者がこの法に基づいて作業を行っています。
■ 解体工事で発生する主な廃棄物
解体現場ではさまざまな廃棄物が発生します。それらは大きく以下の4種類に分けられます。
1. コンクリートガラ
鉄筋コンクリート造や基礎部分などから出る「コンクリートガラ」は、破砕処理後、再生砕石として道路の路盤材などに再利用されます。
2. 木くず
木造建築から出る木材の廃材です。状態の良いものはチップ化して燃料や製紙原料、堆肥などに利用されます。釘や金属などの異物を取り除く必要があります。
3. 金属くず
鉄骨造や設備機器の解体で出てくる金属類(鉄・アルミ・銅など)は、種類ごとに分別してスクラップ業者へ。再生資源としての価値が高いため、丁寧な回収が行われます。
4. 混合廃棄物
内装材や断熱材、プラスチック、ガラス、石膏ボードなどの分別が難しい廃棄物です。可能な限り分別して再資源化を試みますが、一部は焼却や埋立に回る場合もあります。
■ 廃棄物の分別とリサイクルの流れ
解体現場での分別作業は、計画段階から慎重に進める必要があります。以下が基本的な流れです。
1. 分別解体計画の立案
解体前に、建物の構造や使用されている建材を把握し、どのような廃棄物が発生するかを見積もります。これに基づき、資材ごとの搬出ルートや保管スペースなどを検討します。
2. 解体工事中の分別
現場では、重機や手作業を組み合わせて、材質ごとに丁寧に分別を行います。たとえば、外壁や内壁の解体では、石膏ボードと木材、断熱材を一つひとつ分けて処理します。作業員の熟練度や手間が問われる作業です。
3. 中間処理施設での再選別
現場から運び出された廃棄物は、中間処理施設に運ばれます。ここでは、磁選機や風力選別機などを使ってさらに細かく選別・破砕され、リサイクル可能な資材と廃棄すべきものに分けられます。
4. 再資源化・再利用
分別された資材は、再生砕石、再生木材チップ、金属スクラップなどに加工され、新たな建材や工業製品の原料として活用されます。これにより、資源の有効利用と廃棄物削減が実現します。
■ 分別リサイクルのメリット
● 環境への負荷軽減
廃棄物の焼却や埋立を最小限に抑えることで、二酸化炭素の排出量を削減でき、環境保護に貢献します。
● コスト削減にもつながる
分別とリサイクルを徹底することで、埋立費や焼却費が軽減され、全体的な廃棄コストの抑制につながるケースもあります。特に金属などの高価な資源は、リサイクルすることで利益が生まれることも。
● 社会的信頼の向上
環境配慮型の工事を行うことで、行政や施主、地域社会からの信頼も高まります。入札時の加点要素となることもあります。
■ 現場での注意点と課題
とはいえ、すべての現場で理想通りに分別できるとは限りません。現場のスペースが狭い、解体物が混在していて分けにくい、異物混入のリスクがある――など、現場ならではの課題も多く存在します。
そのため、現場管理者や作業員への教育・訓練が欠かせません。また、運搬業者や中間処理業者との連携体制を構築することも大切です。分別に必要な時間と人手を十分に確保できるよう、解体計画の段階から準備を整えておく必要があります。
■ まとめ
解体工事における「廃棄物の分別とリサイクル」は、単なるゴミ処理ではなく、持続可能な社会をつくるための第一歩です。建設業界全体が環境配慮型へと進化する中で、解体現場に求められる責任も年々大きくなっています。
今後はさらなる法規制の強化や、AI・自動化技術の導入による分別の効率化も期待されています。次回は、環境負荷が特に大きい「アスベスト除去の実態」について、現場での対応や法令、リスク管理の方法を深掘りします。