解体工事に使われる重機と工具 ~効率と安全を支える機械たち~

解体工事は、ただ建物を壊す作業ではありません。構造物の種類や立地条件、周囲の環境に応じて適切な重機や工具を選定し、安全かつ効率的に進める必要があります。今回は、解体工事で使用される主要な重機と工具について、それぞれの役割や特徴をご紹介します。


目次

1. 解体工事で使われる主な重機

解体作業の中核を担うのは「重機」です。建物の骨組みや基礎など、手作業では太刀打ちできない部分も、重機を使えば効率的に取り壊すことができます。ここでは代表的なものを見ていきましょう。

① 油圧ショベル(バックホウ)

解体工事で最も多く使われる重機が「油圧ショベル」です。アームの先にさまざまなアタッチメントを装着することで、解体作業から積込み、運搬まで幅広く対応できます。

主なアタッチメント:

  • ブレーカ:コンクリートやアスファルトの破砕に使用。
  • クラッシャー(圧砕機):コンクリート構造物をつかんで砕く。
  • カッター:鉄骨などの切断に適したアタッチメント。
  • グラップル(つかみ機):瓦礫の整理や選別作業に便利。

バックホウは小型から大型まで種類があり、作業現場の広さや建物の規模に応じて使い分けます。

② 解体専用機(ロングリーチ機)

地上10階程度の建物でも対応できる「ロングリーチ機」は、アームの長さが30mを超えることもあり、高層建築物の順次解体に使用されます。高所の壁面を安全に取り壊せるため、都市部のビル解体などに不可欠です。

③ ホイールローダー

瓦礫や解体ガラの運搬・積込みに使われるのがホイールローダーです。バケットを使って大量の廃材を素早く移動させることができるため、作業の効率化に大きく貢献します。

④ クローラークレーン

高所での作業や、重量物の吊り上げに必要なクレーン。解体中に出る大型資材や構造体の移動・解体補助に使われることもあります。足回りがクローラー式のため、不整地にも強いのが特徴です。


2. 解体作業を支える工具・小型機械

重機だけでなく、作業員が直接扱う工具類も現場では重要な役割を果たしています。特に細部の取り外しや、手作業による解体工程ではこれらの道具が不可欠です。

① 電動ハンマー・ブレーカー

壁や床のコンクリートを打ち砕くために使用されます。重機で取り壊せない細部や狭い場所での作業に有効です。振動と騒音が大きいため、防音・防振対策が必要になります。

② サンダー(ディスクグラインダー)

鉄やコンクリートの表面研削・切断に用いられる工具。鉄骨の切断や、塗装の除去などにも使用されます。火花が出るため、火災対策が重要です。

③ チェーンソー・レシプロソー

木造解体ではチェーンソーが、鉄骨や金属部分の切断にはレシプロソーが活躍します。持ち運びしやすく、細かいカット作業に向いています。

④ バール・ハンマー類

手作業の解体では、バール(てこ)を使って釘を抜いたり、木材をこじ開けたりします。スレッジハンマー(大ハンマー)は重量があり、大きな破砕力で構造部材を打ち壊すのに使います。

⑤ 集じん機・送風機

解体現場では大量の粉じんが発生します。これを抑えるために、現場内に集じん機を設置したり、送風機で空気を循環させて安全な作業環境を保ちます。近年は環境対策としても重視されており、導入が進んでいます。


3. 重機や工具の選定が安全と効率を左右する

解体工事では、「どの重機・工具を使うか」が作業の成否を大きく左右します。たとえば、狭小地の木造住宅解体では、小型重機と手作業を組み合わせる必要がありますし、大型ビルの解体では高所対応のロングリーチ機が必須です。

また、工具の選定ミスによるケガや事故も少なくありません。作業員のスキルに応じた道具を用意し、正しい使い方を徹底することが求められます。重機オペレーターや解体工の資格保有者が、安全面を考慮しながら適切な工程管理を行うことも重要です。


4. 今後の動向:ICT建機や遠隔操作の普及

近年では、解体工事にもICT建機(情報通信技術を活用した重機)が導入されはじめています。位置情報や作業履歴の記録、自動停止機能などにより、安全性と効率性の両立が期待されています。

また、粉じんや騒音といった周辺環境への配慮が求められる都市部では、遠隔操作式の重機が登場しています。作業員が安全な場所から操作できるため、作業リスクを大幅に低減できます。


まとめ

解体工事に使われる重機や工具は、その現場ごとに異なるニーズに応じて選定されます。効率よく、かつ安全に作業を進めるためには、こうした機械や道具の特徴を理解し、的確に使い分けることが不可欠です。

今後はICT技術の導入や環境対策の強化により、解体工事の現場もさらに進化していくでしょう。現場を支える重機や工具は、まさに“縁の下の力持ち”。その選定と活用が、プロの仕事の質を決める鍵となります。

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