DX時代に求められる通信工事業者とは?

――“配線屋”を超えて、デジタル基盤を設計・実装するパートナーへ――
こんにちは!
今回は 「DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に求められる通信工事業者」 をテーマに、現場の視点から“これからの在り方”を探ります。
結論から言えば、通信工事業者はつなげるだけでなく、通信網を軸に、建築・IT・エネルギーを横串でつなぎ、DXのパートナーとして課題解決に伴走できるかが勝負です。
1. なぜ今「DX×通信工事」なのか?
- DX=企業活動のデジタル化
- クラウド移行、IoT導入、遠隔監視…どれも高速・高信頼ネットワークが前提。
- 5G/ローカル5Gの普及
- ラストワンマイルだけでなく、構内インフラを無線で多重化するニーズが拡大。
- スマートビル・スマート工場の増加
- 設備がネットワークで結ばれ、BAS(ビルオートメーション)やMES(製造実行システム)がリアルタイム連携。
- ESG・省エネ要件
- 分散電源・BEMS・エネルギー監視装置の通信網整備が不可欠。
こうした要素が重なり、「通信インフラ整備=DXの入口」という図式が定着しつつあります。
2. 従来の通信工事業者とのギャップ
| 視点 | 従来 | DX時代 |
|---|---|---|
| 提供価値 | 物理配線を“つなぐ” | データを“流れる・活かす”まで責任を持つ |
| 関与フェーズ | 施工段階のみ | 企画・設計・施工・保守・データ運用まで |
| 必要知識 | 配線規格・電気通信法 | ITインフラ、セキュリティ、BIM/CIM、クラウド |
| 成果物 | 竣工図、試験成績書 | プラスαでネットワーク構成図、運用設計書、API連携仕様 |
3. DX時代に必須となる5つの能力
① マルチプロトコル対応力
光ファイバー、LAN、Wi-Fi、LoRaWAN、ローカル5G…通信手段が多層化。物理層の敷設だけでなく 「どの手段を、どこで、どう冗長化するか」 まで提案できることが重要。
② BIM/デジタルツイン活用力
配線ルートや機器配置を3D上で干渉チェックし、施工後は点検・保守のデジタルツインへ。図面ではなくモデルで語れる業者が信頼を得る。
③ サイバー&フィジカル統合セキュリティ意識
通信網への不正侵入=企業のDX停止。ファイアウォール設定や物理ラック施錠、入退室ログ連携など “ケーブルを挿したら終わり”の時代は終了。
④ データ活用視点
温度・電力・トラフィックなど施工中に得たデータを運用チームと共有し、運用改善や予兆保全に活かせる報告書を納品に含めると差別化につながる。
⑤ 協創マネジメント
DX案件は建築、空調、電気、IT ベンダー、SIer が同時進行。**ファシリテーターとして工程を束ね、仕様の“翻訳者”**になれる通信工事業者が重宝される。
4. 具体的な提案メニューのアップデート例
| 従来の納品 | DX版アップセル |
|---|---|
| オフィスLAN工事 | ◇LAN+Wi-Fi6E設計 ◇ゼロトラスト向けVLAN設定 ◇IoTセンサー用PoEスイッチ |
| 屋外光ケーブル敷設 | ◇冗長ルート自動切替設計 ◇AR点検タグ貼付 ◇光損失モニタリングクラウド連携 |
| 防犯カメラ新設 | ◇AI映像分析プラットフォーム導入 ◇エッジ端末管理API付与 |
“工事+DX要素”をワンセットにし、CAPEX(設備投資)だけでなく OPEX(運用コスト)削減メリットを提示すると採択率が上がります。
5. 工法・現場管理の未来像
- スマートヘルメットでリアルタイム共有
- 図面・BIMモデルを現場ARで重ね、即是正。
- ロボット/ドローン施工アシスト
- 天井裏配線、ボルト締めを自動化。
- クラウド写真台帳+AI自動仕分け
- 法令書類・竣工写真作成の時間を半減。
- モジュール化配線(プレハブ)
- 工場でユニット化→現場でワンタッチ接続、品質と工期を両立。
6. 課題とチャンス
課題
- 技術多様化に伴う 教育コスト増大
- 多職種協業での 責任分界点の複雑化
- IP/IT 知識不足による 設定ミス・セキュリティ事故
チャンス
- BIM・ローカル5G導入補助金など 公的支援の拡充
- 省エネ法改正で エネルギー監視用通信網需要
- 地方自治体の スマートシティ整備入札 など新市場
まとめ:配線から“プラットフォーム構築”へ
DX時代、通信工事は 「社会のデジタル基盤を形にする仕事」 へ進化します。
ケーブルを敷くだけでなく、ネットワーク設計・デジタルツイン・セキュリティ・データ運用をワンストップで提案できる業者が選ばれる時代。
つながる先にある価値を設計・実装・守る――それがDX時代の通信工事業者。
デジタルインフラパートナーとしての社会が求める新しい通信工事の姿は、もうそこにあります。